なぜ俺たちの顔は輝かないのか
▲輝く男の顔と輝かない男の顔の対比。
サレンダー橋本著「新社会人よ、窓際を目指せ。」より。
「○○くんってさぁ、普段なんかチャラい感じやのに、ここ一番って時に『仕事の顔』になるやん!あたしあれめっちゃヤバイねん!めっちゃキュンってなるねん!」
「ああ~~!わかる~~!」
……先日、会社の女どもがフリースペース的なところで弁当をつつきながら、こんなことをくっちゃべっていた。お前らは真面目そうな顔で納期がどうのこうの言いながらその裏で同僚を視姦してたのか。ほんまオフィスは怖いところやで。
まあ、仕事中の男の顔が凛々しくなるというか、かっこよくなるという点に関しては、俺も概ね同意である。
ただその半面で、どんなに仕事が忙しかろうが、納期に追い詰められようが、バリバリ結果を出そうが、決して顔が輝かない男だっていることも事実だ。
例えば、以前登場したモルボルみたいな息を吐く上司なんかは「顔が輝かない男」の典型だ。
いつも何かとせせこましく働いていて、仕事もかなりでき評価もされており、部下の俺から見ても頼りになる上司なのだが、彼の顔がいきいきしている瞬間を俺はついぞ見たことがない。
後輩のYくんも同じだ。
「ライターになりたい!」という動機から俺が今いる会社で働くことを選んだそうで、話していても、なかなか考えのしっかりしたいい若者だと思うのだが、なにせ、顔が煌めかない。
Yくんはモルボル上司と違って、目鼻顔立ちは結構綺麗で、女子にも割りとモテそうな容貌をしているのだが、彼が会社の女どもから「かっこいい」とか言われているという話を俺は一度も聞いたことがない。
そして俺なんかも、職場では決して顔の輝くことがない側の人間だと思っている。
仕事を通して顔が輝く男と、輝かない男。その違いは、一体どこに求めればよいのだろうか。
俺はズバリ、エロだと思っている。
エロのために働く男。
エロのために商談をする男。
エロのために朝礼で今週の抱負を語る男。
そんな男たちの顔は、いつ見たってキラッキラしている。
エロこそは、全ての男をシャイニングゴッドガンダムへと変えてしまうキング・オブ・ハートなのだ。
そんな確信を持つ俺だから、打ち合わせとかでやたら顔つきがキラッキラでツヤッツヤしてる男とあたると「こいつ…もしかして…!?」なんてあらぬ警戒を抱き、つい頬を赤らめてしまう困った癖が未だに抜け切らない。(//.//)
…じゃあ、顔がキラキラしない男はエロくないのか、と言われれば、当然そんなことはない。
なぜなら、俺はめちゃくちゃエロいからだ。
モルボルだって、超エロい。
ヤツはかつて風俗店で座らせた嬢の指をしゃぶりながら肋骨部にナニを擦りあて「ああ~~っ!この段々が、段々がぁ~~!」などと絶叫しながらイッてしまったという超絶エロエピソードを持つ豪の者だ。まあ、そんなことを喜々として俺に報告するあたり、エロってよりただの変態なんじゃないかって気もするが。
Yくんもまた、おとなしげな顔に反してめちゃヤバイ性癖を隠し持っていることは間違いない。
なぜなら俺は見ちゃったからだ。涼しげな顔ですましながらiPhoneをいじっていたYくんが、「い」の予測変換で「インセクトクラッシュ」(※)を一番先頭に叩きだしてしまったその瞬間を……!ほんま、オフィスは怖いところやで。
そんなエロエロな俺たちだが、エロのために仕事をしているという気はしない。
なぜならば、俺たちにとってエロはもはや生活にばっちり焦げ付いていて、それのために頑張るとか金を稼ぐとか、そういった次元ではもはやないのである。
ライフラインのひとつとしてエロが定着している俺たちは、エロで感動するとかしないとか、そういう場所をとっくに通りすぎている。
毎日食べているお米に対して「おおっ!今日のコシヒカリは芯がしっかりしてどーたらこーたら」だの、「今日のササニシキの舌触りはうんたらかんたら」だのいちいち感動しないのと同じだ。農家の方々・炊飯器メーカーの方々には申し訳ないが、よほどの米フェチならいざしらず、普通人が米の炊き具合ひとつで脳を揺らすような快感を得るというのは、ちょっとばかり難しいと思う。
ところが、やつらキラキラ族は違う。
やつらにとって、今でもエロは新鮮だ。
道端にたまに置いてあったエロDVD&エロ本の自動販売機を見ていた10代の頃の俺たちのような、希望と欲とスプーンひとさじの後ろめたさがないまぜになったあの独特な甘酸っぱい感情を、やつらは20、30、ひどいのになると40を過ぎたおっさんになっても、未だ胸の中に燃やし続けているのだ。
なんという羨まs…もとい、なんという大人げない連中であろう。
…では、なぜやつらだけが、そんな性欲の炎を未だ胸の中に燃やし続けることができているのだろうか。
答えは簡単だ。
それは、やつらにとってエロは未だにスペクタクルに満ち溢れたものであり、いつだって違う感動が伴うものだからだ。
やつらにとってエロは冷たい液晶の先にあるものではなく、温かい柔肌に触れることではじめて実感できるものだからだ。
やつらにとってエロは一人でシコシコ進める「バンジョーとカズーイの大冒険」ではなく、皆でワイワイ遊ぶ「パーフェクト・ダーク」だからだ。
そう、やつらにとってのエロはソロプレイではなく、マルチプレイなのだ。
…つまり、今まで長ったらしくうんたらかんたら述べてきたことを超カンタンにまとめるならば、やつら(リア充)には彼女or嫁がいて、俺たち(非リア)はそんなものと一切無縁だということである。
これだけのことを言うためにおしゃべりが長すぎるって?
いや、でもこれだけの長さにして薄めないと、「リア充」と「死ね」「消えろ」「○す」だけで100wordくらい打ち込むだけの記事になって、なんか変な呪いブログみたいになっちゃうんじゃない?ってさっき俺(特質系)のラブリーゴーストライター的な何かに忠告されちゃったんで。
最近、ネット絡みの犯罪とかなんか色々怖いからね。
その辺は結構、コンプライアンスに則って、しっかりと情報処理していくつもり。
無理のない範囲で、体制にはどんどん媚びていくつもり。
つもりつもり。
…てなわけで、ふたを開けてみたらば、今回はただリア充に対する怨念をひっそりとぶちまけるだけの回になのでした。ちゃんちゃん。
本当はもうちょっとこう、あれだよね。格調高い感じでいけたらいいなとか、思うよね。
アラサーだしね。そういやね。
【今日のものしり番外地】
【い】インセクトクラッシュ
女の人が足で虫を踏み潰すさまを延々撮り続けるという、AVにおける超絶キワモノジャンルのひとつ。
いったいどの層に需要があるのだろうか、と常々思っていたが、M男業界ではわりと人気があるらしい。
もちろん俺は、自他ともに認める生粋のM男なんであるが、これだけはどうしても理解しかねる。そういえば学生の頃、間違ってこれ系の動画を見てしまった結果、その日の晩御飯が喉を通らないという事案が発生したのだが…そんな「インセクトクラッシュ」が「い」の予測変換の一番最初にでてくるYくんっていったい…